本EP・ユニットにおける教育・研究
海洋空間のシステムデザインEP(学部)・海洋空間システムデザインユニット(大学院)の基盤をなす船舶海洋航空宇宙工学は、個々の要素技術の修得を最終目標とせず、各種の基盤技術および先端技術を広範囲に統合して複雑な構造体を有機的にまとめ上げるマクロエンジニアリング(総合計画工学)の性格を有しています。
海洋工学が対象とする空間利用は、現在の発達したテクノロジーにより海洋から大気圏さらに宇宙空間へと拡大しています。このため、本EP・ユニットでは航空宇宙工学系の科目も一部導入し、これらの空間を利用した人工物の計画、建造および運用中のメインテナンスやヒューマン・インターフェイス、さらに環境負荷も考慮したエンジニアリングの教育研究を行っています。海洋空間のシステムデザインEP・海洋空間システムデザインユニットでは、このような教育研究を通して幅広い知識を身につけた視野の広い技術者の育成を基本理念としています。
理工学部 機械・材料・海洋系学科 海洋空間システムデザインEP
海洋空間のシステムデザインEPでは、マクロエンジニアリングに必要不可欠な視野の広さを習得するために、本学の理念である実践性、国際性、開放性に配慮した教育を行うことを目標としています。カリキュラム構成は、船舶海洋工学や関連する一部の航空宇宙工学に基づいた実践性を考慮した基礎教育に重点が置かれており、幅広い基礎知識の習得と有機的な統合能力を伸ばすとともに大規模システムに関する問題発見能力および問題解決能力を身につけた主体的な技術者の育成を教育目標としています。さらに、留学生の受け入れを通して異なる文化圏との交流により視野を広げ高い国際性を育むとともに、企業人による多くの講義を用意することにより実社会に視野を広げた開放性のある教育研究環境を創り上げることを目指します
海洋空間システムデザインEPパンフレットPDF
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教育方法と期待される教育成果
海洋空間のシステムデザインEPでは、実践性の高いマクロエンジニアリングを考慮した教育方法を実施します。カリキュラムは、幅広い基礎知識の習得と有機的な統合能力を伸ばすことを目的とし、演習・実験・実習・輪講を重視しています。さらに、統合能力を問われる卒業論文を最終学年で執筆させ、実践的な問題解決の場である卒業研究を重視したカリキュラム構成となっています。また、企業見学と学外実習による実体験機会を多く提供することにより、履修しているカリキュラム内容の実社会における位置付けを理解させ、さらに、国際性の基礎となる英語をゼミ等で使用するなど、幅広い視野を持つ人材の育成に配慮した教育を行います。以下に、海洋空間のシステムデザインEPにおけるカリキュラムの特徴と期待される成果について示します。
履修科目系統図
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- 新入教育として演習・実験系科目を中心に解説したコース独自のパンフレットを新入生に配布し、研究室紹介とカリキュラムとの関係の説明や現在実施している見学や実習の詳細な紹介を通して、勉学の明確な目的意識および自主的かつ継続的な学習意欲を醸成します。
- 一部の教養科目および専門基礎科目と演習・実験系の専門科目からなるコア科目を必修ないし選択必修科目に指定し、これらの科目について重点的な教育を行うことにより、まず論理的・多面的に考える力を身につけた人材を育成します。
- 一部の教養科目や輪講科目、卒業研究を通して、技術が社会環境や自然環境に及ぼす影響や効果、および技術者が社会に対して負っている責任に関する理解を深めます。
- 確率統計学、解析学、線形代数学、物理学、力学を重点基礎科目として学習し、それらを応用したマクロエンジニアリングの考え方が出来る人材を育成します。
- カリキュラムに航空宇宙工学に関連した科目を一部導入しており、主体となる船舶海洋工学系の講義と相俟って、海洋空間から大気圏、宇宙空間にまで及ぶ空間の利用という考え方を醸成します。
- 創造性教育の一環として、一部の設計製図、演習、実験、輪講の科目において、簡単な船型模型や構造物模型の製作と一種のコンペ、あるいは宇宙システムの概念設計等を実施しており、計画的にデザインすることや物を造ることの素晴らしさを体験した人材を育成し、問題解決能力やデザイン能力を培います。
- コンピュータリテラシーや数値情報処理等の科目におけるコンピュータの操作や演習、さらに卒業研究の機会を通して、プログラミングや情報処理等のコンピュータ利用能力の向上を図ります。
- 輪講科目および一部の演習、実験科目において、学生にプレゼンテーションの機会を設け、相互あるいは教員とのディスカッションを通して、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力の向上を図ります。
- 演習科目や輪講科目で英語文献や資料の読解を課す、あるいは卒業研究にあたって専門分野の英語論文を読みこなすという教育を実施しており、単なる英語能力の向上だけではなく技術英語の能力向上を図ります。
- 横浜国立大学では平成15年度入学生より全学的にGPA (Grade Point Average) と呼ばれる成績の質を示す指標を導入し、かつ卒業要件の一つとしており、知識の量だけではなく取得した知識の質が国際的にも通用する人材を育成します。
研究室一覧
グループ | 研究室 教職員 |
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流体 | 複雑流体力学研究室 高木洋平准教授 |
海事流体力学研究室 李僑准教授 |
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岡田功技術専門職員 | |
海空制御 | 海空制御システム研究室 平川嘉昭准教授 |
構造 | 構造情報システム研究室 川村恭己教授 |
船舶海洋構造設計研究室 岡田哲男教授 |
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早川銀河技術職員 | |
設計 | 海洋空間利用工学研究室 村井基彦教授 |
韓佳琳助教 | |
海洋環境設計研究室 西佳樹教授 |
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船舶海洋システム設計工学研究室 満行泰河准教授 |
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航空 | 高速空気力学研究室 宮路幸二教授 |
航空宇宙誘導制御研究室 樋口丈浩准教授 |
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マリタイム フロンティア サイエンス |
海洋開発研究室 大坪和久客員准教授 |
海上交通安全研究室 伊藤博子客員准教授 |
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海上交通安全研究室 河島園子非常勤講師 |
大学院理工学府 機械・材料・海洋系工学専攻 海洋空間システムデザインユニット
船舶海洋航空宇宙工学の教育・研究は、機械・材料・海洋系専攻(海洋空間システムデザインユニット)で実施します。この中で博士課程前期の教育・研究は、船舶海洋工学に関して海洋空間教育分野、航空宇宙工学に関して航空宇宙工学分野(http://aerospace.ynu.ac.jp/)で実施します。
2つのプログラム
TED プログラム
海洋、大気圏、宇宙空間を利用するための船舶海洋工学と航空宇宙工学の専門的教育と研究により、課題探求能力と課題解決能力を兼ね備えた専門技術者・研究者の養成を行います。1つの研究室に所属し、成果として修士論文をまとめるプログラムです。
PED プログラム
海洋、大気圏、宇宙空間を利用するための船舶海洋工学と航空宇宙工学の基礎的知識から実際の機器に関わる技術的諸問題を総合的に学び、課題探求能力と課題解決能力を兼ね備えた即戦力的あるいは実務に適応可能な工学技術者の養成を行います。半期毎に学内外の研究室や企業等へのインターンを行い、成果をポートフォリオとしてまとめるプログラムです。
指導教員一覧
指導教員 | 研究分野等 | 教育分野 |
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川村恭己 教授 |
構造力学及びCAE(Computer Aided Engineering)が専門分野である。特に、有限要素法による構造解析手法やプリプロセッシング(メッシュ生成等)、及び、船舶を対象とした損傷情報システムに関する研究を行なっている。 (PED:海洋空間構造力学スタジオ) |
海洋空間 |
岡田哲男 教授 |
船舶・海洋構造物において、安全、環境保全、性能・経済性などの様々な要素をいかに両立させていくかを軸に、それらを大きく左右する構造設計の手法について、船体構造力学、最適設計、CAEなどの要素技術を駆使した研究をおこなっている。 (PED:海洋空間構造力学スタジオ) |
海洋空間 |
村井基彦 教授 |
海洋工学、大型海洋構造物設計、浮体式構造物設計、海洋空間利用システム、流力弾性学、海洋環境工学 (PED:海洋空間利用スタジオ) |
海洋空間 |
西佳樹 教授 |
環境と安全を管理しつつ急速に発展するアジアの海上物流と海洋資源開発に対応するイノベーションを目指した研究領域を担当する。これらの領域において海洋、浮体、設計をキーワードとした海洋空間のシステムデザイン分野を新たに開拓する。 (PED:海洋空間利用スタジオ) |
海洋空間 |
平川嘉昭 准教授 |
船舶の波浪中船体運動や波浪中抵抗増加の水槽実験における計測や解析、飛行艇や航空機等の着水時挙動等計測のための水槽実験法、また波浪レーダーや波浪ブイを用いた実海域波浪の計測法及び波浪追算を用いた推定等に関する研究を行う。 (PED:海洋空間流体力学スタジオ) |
海洋空間 |
高木洋平 准教授 |
推進性能や燃費を向上させるために、機能性塗料や表面形状変更によって流体の摩擦抵抗を低減する技術を数値計算及び実験によって開発する。また、混相流の数値解析によって、重油の流出事故や海上火災に対する減災技術を提案する。 (PED:海洋空間流体力学スタジオ) |
海洋空間 |
満行泰河 准教授 |
船舶海洋分野を対象に、造船や海運の様々な場面において発生する情報やデータを高度に利活用するための研究や、モデリングとシミュレーションを用いた海事産業のシステム設計に関する研究を行っている。 (PED:海洋空間構造力学スタジオ) |
海洋空間 |
李僑 准教授 |
船舶、海洋再生可能エネルギー設備、水産養殖設備など、海上に浮いている構造物を対象に、数値シミュレーション及び実験を通して、広い意味の海洋工学を考えた研究開発を行っている。
(PED:海洋空間流体力学スタジオ) |
海洋空間 |
韓佳琳 助教 |
Smart Oceanを構築するために、海洋工学、機械工学、および電気電子工学的知識を活用し、洋上や海中で動作するマルチボディシステムの開発と、その運動応答に関する水槽実験とシミュレーションの研究を行っている。 | 海洋空間 |
大坪和久 |
研究分野: ・ 係留・ライザーの設計・安全性評価・ 海洋構造物の安全性/稼働性評価 ・ 石油・LNG移送時の2船体動揺評価・ 海上施工等複数浮体のオペレーション安全性評価・ DPSによる位置保持性能評価に関する研究など 研究テーマ: ・ タレット係留システムの設計法に関する研究・ Lazy wave ライザーに作用する流体力推定と挙動予測に関する研究・ 新形式係留・ライザーシステムの設計法に関する研究 (e.g. 浅海域タレット係留/ライザーシステム)・ 浮体-係留-ライザーシステムの一体解析によるオペレーションを含む総合安全性評価に関する研究など (PED:マリタイムフロンティアサイエンススタジオ) |
海洋空間 |
伊藤博子 河島園子 |
海上で発生する船舶事故の原因究明、傾向の把握、安全対策の策定、その効果の評価に関連した研究を行う。特に、船舶による衝突事故、座礁事故などの交通安全に関する問題を対象に、海技研の所有する操船シミュレータや、船舶の通航状況に関するデータ等を用いてリスク工学の観点からアプローチする。
最近の研究テーマ ・ AIS データを用いた船舶の狭水道通航方法に関する研究 ・ 海上交通流シミュレーションの研究 ・ 避航操船支援の研究 ・ 船舶と海上の構造物との衝突確率に関する研究 (PED:マリタイムフロンティアサイエンススタジオ) |
海洋空間 |
宮路幸二 教授 |
高速気流の理論的、及び数値的解析を研究領域とする。特に航空宇宙分野への応用例として、超音速航空機の空力性能解析、及び、更に高速領域で生じる加熱問題を主に取り扱う。また推進機関の性能検討も行っている。 (PED:航空宇宙システムスタジオ) |
航空宇宙 |
樋口丈浩 准教授 |
航空宇宙工学、飛行ロボットの設計制御、航空機の誘導制御、宇宙構造物の設計制御 (PED:航空宇宙システムスタジオ) |
航空宇宙 |